映画評

【映画評(感想)】『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』のメッセージ

『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』のあらすじ

女優を目指すミア(エマ・ストーン)と、ジャズに愛情を注ぐピアニストセブ(ライアン・ゴズリング)の恋愛を描いたミュージカル映画。
お互いの夢を応援し合いながら愛情を育んでいくが、セブが生活のために加入したバンドが成功してからすれ違いが起こっていく。

【感想】『ラ・ラ・ランド(LA LA LAND)』のメッセージ

私が初めてこの映画を観たのは、国立大学の受験を終えて(落ちた)ど田舎の地元に帰るまでの間、東京で暇を持て余していたとき。せっかく東京に来たのだからとなんとなく六本木に繰り出したけれど、特にすることもなく結局映画館に入った。ララランドを観たのはアカデミー賞を受賞していたというだけで、特に思い入れがあるわけでもなかった。
平日の昼間だったからか客はまばらで、馬鹿でかい映画館の特等席に1人で陣取った。
映画は、女優志望の役者と本格ジャズバーを開きたいピアニストの恋愛もので、ベタといってしまえばベタな内容だった。ただ、夢を目指して懸命に努力する姿は、当時の私にはかっこよく見えた。そしてお互いの夢を尊重し、応援し合う関係を理想的だとも思った。自分のことを時に天才だと思い、時に価値がない人間のように感じていた私にとって、2人のような努力を見守ってくれる存在が羨ましかったのだ。
結局、2人は夢のためにそれまで育んできた関係を犠牲にしたけれど、互いに納得しているようだった。ラストの切なく響くピアノの音に耳を傾けながら、私は、私が大事なものを犠牲にしてでも手に入れたいものはなんだろうかと思った。

約一年後、東京の小さな劇場で再び上映されることを知った私は、思いの外満員の劇場でララランドを観た。そしてまたゴールデンウィークに、家のパソコンで観た。
スクリーンに映る2人も、そしてパソコンの液晶に映る2人も、相変わらず私に、「夢は何か、そのために犠牲にできるものは何か」とメッセージを伝えてくる。当時の私にとって夢は合格、犠牲にしたのは学生らしい青春だった。けれど結局国立に落ちた私が、もう何も犠牲にしたくないというのは強欲だろうか。
今のところ私に夢はない。本音を言えば、広い家で撮った猫の動画をYoutubeにあげてその広告収入で暮らしたい野望はあるけど、今のところ夢はない。いつか夢ができ、大事なものを犠牲にしないために、今何ができるか。
ララランドはいつだって私に指針を示してくれる、私の大切な映画だ。

公式サイト